「蓮」はベトナムを代表する花です。ベトナム語ではSen(セン)。

泥の中から根を出し、泥水の中を茎が通って、水面に美しい花を咲かせる蓮は「聖なる花」の象徴とされています。

またベトナムでは蓮の花の美しさを愛でるのみならず、その花びらから作るロータスティー、実を砂糖づけにしたお菓子、茎をサラダにした料理「ゴーイ・セン」を美味しく味わうこともでき、ベトナムの人々にとってなじみ深い花です。

ベトナム王宮に伝わり、また人々に愛されてきた「蓮茶」作りは、夜明けと共にハス摘みで始まります。そして、摘みたての花を使った製茶作業。人々の目が覚めきる前にすべて摘み終わらなければ、高品質なハス茶は出来ないと言われます。

まだ夜も明けきらない早朝、ハス畑に足を踏み入れるとそこにはハスの間を流れるように行き来する小舟とハスを摘む人々の姿がうっすらとした日の光の中に浮かびあがります。

竹で作られた小舟は、人が1人乗れるほどの小さなもので一本の竹ざおで船を操り、ハス茶に適した大きさの花を手早く摘んで行きます。船の上でのバランス感覚も見事ですが、花を摘む作業のスピードは更に驚きです。あっという間に小船がハスの花で一杯になっていき、1時間半ほどで作業は終了。「香りが良く朝摘みたてでなくてはだめ。」と、摘む花の選別にも特別のこだわりがあるようです。